「この家では」シリーズ第2弾です。
土曜、日曜はデイサービスがお休みなので、母はほとんど家にいます。心臓が悪くて、少し歩くとはぁはぁ言ってしまうので、こもりっきりの日が多いです。暖かくなってきたので、近所を少し散歩する程度です。
土曜日のある日のこと。母が、「お風呂はどうやってお湯を入れるんだっけ?」と聞いてきました。「お風呂は、昨日デイサービスで入ったから、入らんでも良いんじゃない?」と言うと、「えー、入ってないし。デイサービスでも誰も入れって言わないから、ずーっと何日も入っていないわ。汚いからお風呂に入りたい。」
「お帳面に入浴済みって書いてあるけど、デイサービスに電話して聞いてみるから、ちょっと待っとって。」
すると、急に鬼の形相になり、「この家はお風呂も入れてくれん!!」とふすまをバーンと閉めて行ってしまいました。
一応デイサービスに電話をして、「母がお風呂に入っていないって言うんです。」と言うと、「毎日入っていますよ。お母さん、忘れとるんじゃないですか?」「そうですよね。日誌にもそう書いてありますものね。」
「デイサービスの人に電話で聞いたら、お風呂入ってるって言っとったよ。」と言うと、「そうだっけ。でも、私はそんなこと覚えていない。」
1ヶ月に1度くらい、このやり取りが繰り広げられます。別に家で入っても良いのだけど、家のお風呂は寒いし、湯舟は高いし深いし、風邪でも引くと怖いからデイサービスのお風呂に頼っています。
こういう時にどう言えば母を傷つけずに納得してもらえるか、色々やってはみるのですが、身内なので、ついつい面倒くさくなって「はいはい、わかった、わかった。もう良いから。」と言ってしまう私なのでした。
認知症の人にも尊厳はある。そんなことは百も承知です。直前のことを覚えていなくたって、心に傷はつくのかもしれません。
でも、こっちだって傷つくんだからね!と小さい声で言ってみました。おしまい。
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